連休2日目

2006/05/04

スタインベックの“ハツカネズミと人間”を読みました。

話は1930年頃のカリフォルニアが舞台(多分)。
仕事を探して農場を転々とする男たちが描かれています。

私が印象的だったのは、話のやや後半、頭の悪い大男、黒人の馬屋係、片手のない老掃除夫たちとの語らいに、農場主の息子の若い妻がからむところ。
女は、3人の男たちをさげすみ、愚弄するが、掃除夫は、自分には友達がいること、いずれ家を持つ夢があることに生きる希望を見出そうとするシーン。

日々の生活が空虚に、そして虚しく感じられる時でも、帰れる家庭があること、我が身を両親が守ってきてくれたこと、語り合える友人がいること、それらを私は当然の如く受けとめてきました。
しかし、あるのは、ただ身一つ。
他に何もない状態から生涯をかけてこれらを得る事の過酷さ。
それに比べれば、自身の人生は自ら切り開いたわけでなく、既にあったものをただ膨らませた程に思えます。

そして物語は、やり場のない悲しい結末へ・・・・。

自分の幸福が、どれほど多くの人たちや事柄に支えられて、やっと成り立っているかを考えずにはいられない作品でした。

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